このページからのリンク先は2003年に宮城野高校に勤務しながら宮城教育大学で学んでいた時に「スキマ」で書いたレポートを公開したものに、その後の教育現場での実践から得られた知見を加えたものです。このページだけ加筆しますが、他は2003年当時のものです。

 実施してみた成果は以下のようなものです。ただし、比較群を作って検証しているわけでもなければ、実施前後の成績の追跡、生徒アンケートなどの調査はしていませんので、『あくまでも指導教員の感想』にとどまります。また、入試の結果は宮城野高校の1999年卒業生(第2回生)、仙台青陵中等教育学校の平成27年度卒業生(中高一貫の2回生)が該当します。

 感じている成果は以下のとおりです。

  1. 計算が早くなり、ミスが減ります。
    これは下記のレポートに記載した通りです。比較群に比べ有意な差が見られています。なお、様々なページに記載していますが、基本的な計算時間は1枚あたり3分です。また、1日に何枚もやっても時間の無駄です。必ず目の前に「時計」をおいて取り組んでください。
  2. スタートが早くなります。
    これは「よーいドン」で計算を始めるトレーニングの成果だと思います。短時間で集中する場合の、集中するまでの時間が早くなります。
  3. 問題を考える時間に余裕が生まれます。
    計算の精度が上がり、速度も上がった結果、問題解決の構想を練る時間に余裕が生まれます。また、思考が「並列」で回るようになります。
  4. 基礎事項の「穴」が合理的につぶせます。
    中位レベルの学力層では特定の内容に弱点を抱える生徒が多く見られます。「平方完成が苦手」というだけでなく、「実はルートの計算だけミスが多い」というような生徒です。この「穴」の発見のための個人指導は必要だと思っていますが、「小学生に戻れ」ではなく合理的に補修をすることができます。

Let's 脳トレ

 宮城教育大学大学院の授業で東北大学の川嶋隆太教授の授業を受講する機会に恵まれました。内容を一口で表すと、「読み」「計算」の活動により大脳の前頭前野の活動が促進されて、その結果脳の機能が向上するというものでした。そこでこれを高校生の学習活動に応用することができると考え、生徒を対象に実験を行ってみました。

1.基礎知識

 川嶋先生の講義のレポートを公開しました。ここに実験結果も含めて丁寧に記述してあります。

2.脳トレの実施と結果

 2つのクラスを対象に、一方を授業開始3分間での計算テスト群、一方を何もしない群に分け比較実験を行いました。実験期間の最初に両クラスに単純計算と短期記憶のテストを行い、期間終了時に同一のテストを行いその変化を見ました。

 計算テスト群に対してはテストの趣旨をプリントを作成し解説し、毎日の授業開始時には予定表に従った範囲でのテスト(3分間)を行ってから授業を行いました。

 実験の事前事後の変化に関しては、個人データを収集後、t検定を行い、その結果をレポートとしてまとめ、2003年度の宮城県算数数学教育研究大会で公表しました。

なお、予定表・単純計算テストについてはLZHファイルにまとめてあります。